別れの涙


わたしと姉は6つ違い。
姉は近隣の町の高校に通い、寮生活をし始めた。
今から35年以上も前のことだもん。
高校生の姉はとても大人に見えて、甘えるわたしを可愛がってくれたので、帰省する日を心待ちにしていたものだった。
楽しく過ごした日曜の午後、学校に戻る姉のバスを見送るのが辛くて、涙を堪えて手を振ったあとは、急いで家に帰り、自室にこもってわんわん泣いたっけ。
別れの辛さは、あのころがピークだった。
別れても、来月には、また会えたし、姉妹なので、関係が途切れることもないのにね。


いつの頃からか、お別れがそんなに辛いことだと思わなくなった。
ちゃんと、また会う自信を持てたから。


わたしたちを繋いでくれたパイプであった彼らがいなくなっても
「また会おうね」って、言ってもいいよね?


彼らが音楽の世界から消えて、新しい情報もなくなり、どこで何をしているのか全くわからなくなってしまったとしても、彼らを通して得たものを、そう易々と手放したくはない。


わたしが泣かないのは、きっとそういう理由です。