今日は、私たち家族と旦那さんのお義父さん・お義母さんの6人で母の病院に行きました。
今日の母はとても落ち着いていて、わざわざお義父さん・お義母さんが来てくれた事を
すごく喜んでいる様子で、目尻の横のシワに涙がジワッと溢れてきてました。


母ですが、お陰様で今回の入院の原因でもあった感染症や脱水症状の病状は治まり
2〜3日中には退院出来るだろうと言われました。
いろいろと母のことを気遣ってメールを下さった方々、本当にありがとうございました。


ただ‥




この間の金曜日。その日は一日家にいるつもりだったのに、急に病院から電話が入り
「お話したいことがある‥」というので、慌てて車を走らせ病院へ。
そして、主治医の先生に見せられたのは、その日に撮ったばかりの母の頭のレントゲン写真。
そこには、新しい、おそらくここ4〜5日ぐらいで出来たであろうという
無数の小さな脳梗塞の白い影が脳のあちこちにいっぱい写ってた。
つまり多発性脳梗塞の症状が進んでいるということ‥


時にゆっくりと、そして時に急ぎ足で、確実に進行してるんだなぁ。
確かに入院してからも日毎に母の表情は変わり、穏やかでちゃんと意思の疎通が
出来る日もあれば、ただ無表情のまま横たわり、こちらの問いかけに対しても
なんの反応も無い日もある。そんな感情失禁はますます激しさを増し
幻覚や妄想も以前より多く口走るようになった。
言語障害の症状も出てきて、口が思うように動かせなくなり
何を言ってるのか聞き取れない時も‥
私はそれらを薬のせいかなって思ってたけど、先生に聞いたら
それも脳梗塞による認知症の症状らしい。
そして先生からは、今後の治療方法についての説明を受けました。


確実に母の病状は進行してる。
ただその症状は境目があやふやで、今はちゃんと現実を見据えているのか
それとも妄想の世界の中を漂ってるのか、その区別の瞬間は
そばで見ていても全然分からない。
普通に会話出来ていたかと思うと、急にその延長で幻覚を言い出したりするし。
何が本当で、何が嘘なのか‥正直、分からなくなる。
しかし人の体ってホントに不思議だなぁ〜〜。
きっといま母の頭の中では、いろんな事が次から次へと渦巻き、「今」と「過去」が
目まぐるしく行き来し、いろんな光景が脳裏に浮かんでは消え浮かんでは消え‥
まるで壮大な宇宙が広がってるような感じなんだろうね。



そんな母を目の前にして、今の私はというと‥
こんな時に不謹慎かもしれないけど、私はものすごく「今」を楽しんでます。
感情の浮き沈みが激しくなった母だけど、母の病気が分かってからというもの
いろんな話しをしては、互いに顔を向き合わせ、よく笑うようになった。
幻覚や妄想を口走っても、「うん、うん。大丈夫だよ〜」とか「そうだねぇ〜」って
受け入れられるようになって、気持ちがすごくラクになった。
ほとんど寝たきり状態の母を起こし、すぐにお腹がいっぱいだと言って
嫌がる食事(ペースト状)をど〜にかして食べさせようと
おだてたりなだめたりいろんな作戦を考え必死になってみたり。笑
この間なんか、何回も酸素吸入や点滴の管を勝手に抜くもんだから
看護婦さんに注意され、「私が叱られちゃったよ」って笑ったら
飄々と「はい。それは申し訳ありませんっ。」って言うから
「でも、邪魔なんだもんねぇ〜」って2人で愚痴りあった。笑
とにかく今の私は、病院に着くまでの車中でも
「今日はどうやって母を笑わしてやろうか?」とか
「意地っ張りで頑固者の母をどうやっておだてようか?」とか
必死に楽しみながら考えてる。穏やかであったか〜い気持ちの中で。


確かに、時折急に見せる母の涙の表情は、一瞬私の心ん中を固まらせるけど
前ほど辛くは感じなくなった。
逆に、そんな涙も含めた母の存在が、今はとても可愛く愛しく思えるほど。
だから、きっと今まで互いに葛藤があり向き合えないできた私たちに
親子としての時間を、母の病気を通して与えられたのかなぁ〜って思うと
すごく素直な気持ちになれ、「今」を嬉しく思える。
向き合って笑いあった事なんてなかったもんね、私たち。
こういう時間を持てることが、私にとってどれだけの意味があるかは
私自身が一番分かってるしね。


だから、これからどれだけ私たちの間にこういう時間が流れるのか分からないけど
私は「今」に感謝し、楽しんでいこうと思います。不謹慎かしら?笑
だから、私は大丈夫です。
ご心配いただいて本当にありがとうございましたっ!



余談ですが、日によって体調や感情の浮き沈みが激しい母が
どんな状態の時でも必ず言う言葉があります。
ずっと無反応だった日も、幻覚ばかりみてまともに会話が出来なかった日も
必ず言う言葉。
それは‥私が帰る時、「また来るからね」と耳元で呟くと
「気を付けて帰れ。私のことは心配しなくていいから、気を付けて帰れ。」と
必ず言うのです。たとえ自分がどんな状態だったとしても。
だから、その言葉を聞くたび「母は母なんだなぁ」と強く感じています。