ようやく観ることができました。




藤原竜也さんの舞台「身 毒 丸」(しんとくまる)を、観てきました。
1995年初演(武田真治主演)のこの芝居は、1997年に藤原竜也主演で再演されました。(ロンドン1997年10月、日本では1998年6月から8月まで、さいたま他にて再演。)
このとき藤原くんは15歳。その存在は知っていましたが、舞台を観にいくのには少し躊躇していたわたしでした。2002年の再演では、残念ながらチケットを手に入れることができませんでした。これをもって「FAINAL」とされ、ついにわたしは舞台を観る機会を失ってしまったのでした。ところが今年2月に、アメリカのジョン・F・ケネディーセンターで開催される「JAPAN! CULTURE+HYPER CULTUER」というフェスティバルのオープニング演目としてケネディセンターの熱い要望をうけ、5年ぶりに復活という幸運があり、観るはずの無かった幻の舞台を日本でも再演されて、今日、目にすることができました。
面白かった。
すべて最高でした。
はぁ〜っ。満足した!!

以下ネタばれですのでご注意!!





しんとく丸という物語は説経節(中世以来の日本の芸能。難しい教義を一般大衆にわかり易いように因果応報の物語などにたとえた。)のひとつで、森鴎外の「山椒太夫」で有名な安寿と厨子王の物語も同時期の代表的な説経節の作品である。
寺山修司率いる演劇実験室 天井桟敷が、1978年に「身毒丸」を上演しており、蜷川さん演出のこの作品は「作 寺山修司 岸田理生」によるもの。
幕が上がるという始まりではなかった。はじめから幕は上がっていた。そして舞台の奥のほうからこの世のものなのか定かでない異様な人々がゆっくり、ゆっくり、舞台前方に進み出てくる。その人の中を亡き母の写真を胸に抱き彷徨う汚れのない清潔な白シャツを着た少年。(ココ、重要だよね、たぶん。シミひとつシワひとつない白いシャツ。)
そして物語は混沌とした愛憎の世界に突入していくのです。寺山修司さんの作品は映画「書を捨てよ町へ出よう」しか知らないのですが、なんかもうあの淫猥な感じの嫌悪とどうしようもない共感を覚えたことを、この舞台の冒頭で、ぶわっと噴出してきてしまい、我ながら驚きました。なんていうか、終始「逢魔刻(おうまがこく)」「黄昏刻(たそがれどき)」そんな時間の中に閉じ込められていたような感覚でした。
亡き母を求める一途さと潔白さ。継母を嫌悪する激しさ。一糸まとわぬ姿でたらいで行水のシーン。息をつかせぬ場面展開の連続なんですが、わたしが一番心が躍った(笑)シーンは、継母が「ズボンを下げておしりを出しなさい!」と悋気し、しんとくがおしりを打たれる場面でした。痛みと屈辱にゆがむしんとくの顔。鬼のような継母撫子の顔。さて、その底に流れていたものは・・。
白石加代子さんでなければ撫子という役は成立しないでしょう。妖艶さと鬼気迫る形相そして呼吸。こ・怖い〜。
あとは、あれですね、継母の連れ子がなぜ登場人物に必要だったのか。連れ子のせんさくをしんとくが汚す、ということだったんですね。鮮烈でした。びっくりした。せんさくの白いシャツの釦があっという間にはだけられるシーン。凄まじい怒りの形相のしんとく。すごい気迫でした。
わたしが観た蜷川さん演出藤原くん主演の芝居のなかで、間違いなく一番好きな舞台でした。
とにかくすごいものを見せていただきました。

うー。DVD観たいぞ。たっちゃんが16歳で演じた身毒丸が、観たい!!!






藤原竜也×白石加代子 身毒丸ファイナル [DVD]

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