プラチナのネックレスだそうです。
先週の土曜、母のところに行った際、母と仲のいいおばあちゃんが
「貴方に持っていて欲しい‥」そう言って、自分の首元に輝いていた
このネックレスをはずし、私に預けてきた。





足腰が丈夫なそのおばあちゃんは、いつも母の身の回りの世話を
手伝ってくれていた。私たちが遊びに行くと、いつも子供たちに
お菓子をくれたりいろんな話を聞かせてくれたりしていた。
私も行くたびに声をかけたり、身の上話の聞き役になったり‥
前回行った時も、自分で作ったお手玉をプレゼントしてくれて
子供たちは大喜びしていた。
そのお礼にと、先週行った時、子供たちが書いた手紙とほんの少しのお菓子を添え
そのおばあちゃんの部屋に子供たちが持って行こうとしたんだけど
その際、母が一言呟いた。
「持って行かなくていい‥」
その投げ捨てるような言い方で、何かあったんだなという事は
すぐにピンときた。
聞くと、ある事がきっかけで仲違いをしている様子‥
でも「その気持ちは分かる。分かるけど、そういう大人同士の
感情の巻き添えにして、子供の感謝する心まで押しつぶし
無駄にする事はないでしょ。子供には関係のない事。
子供たちが感謝してる気持ちに、何も変わりはないんだから。」
そう言って、私は子供たちに持って行かせた。
その後母は何も言わなかったけど‥


子供たちが「渡してきたよ〜〜」って戻ってきてから
今度は外に散歩に出かけた。母は車イスで。
その日はとても天気が良く、柔らかい風にそよぐ木々のざわめきが
心地良い音楽のように辺り一面を包んでいました。
施設の周りを一周し、そろそろ中に戻ろうとした時
先程書いたそのおばあちゃんが入口から出てきた。
近づくと、唐突に、言葉を捜しながら私に話しかけてきた。
「あのな、あの‥私もいつどうなるか分からないからな、それでな、これを
是非アンタに持っていて欲しいの。重く考える事はないから。
ただアンタとアンタのお母さんに出会えて感謝してる気持ちをな
受け取っていて欲しいんだ。アンタに持ってて欲しいんだ。」
そう言って、自分の身に着けていたこのプラチナのネックレスを
はずし、私に差し出してきた。
ビックリした。急にそういう事を言われて‥
そして、正直言って戸惑ったし困った。
こういった物をいただくという事ももちろんだけど
それ以上に、何か背負うものが大きいような気がして‥
だから何度も断ったんだけど、その気持ちはとても強く
何度かやり取りがあった後、結局受け取ってしまった。


でも、おばあちゃんごめんね。
ネックレスをいただいたという事に対しては、今も戸惑っています。
だけど、その気持ちの奥にある心の姿勢は
ちゃんと受け止めていきます。
語られるその言葉の奥に見える、その気持ちに目を向けますから。
だから、渡すというその行動に感謝し、受け取ってしまったんだよ。
大切に持ってるから。


そういうやり取りがあったのち、母の部屋にみんなで戻ろうとしたら
そのおばあちゃんが「私が押すから‥」と言って
母の車イスを押してくれた。何よりもそれがすごく嬉しかったです。
母も「ありがとう」そう言って、喜んでいる様子だった。
ホントは、なんでもないって顔してたけど
すっごく寂しかったんだよね。仲違いしていたこと‥
おばあちゃんにとっても
母との仲違いがあった事が、今回のことに何か関係があったのかな?
おばあちゃん、何度も「ごめんな。ごめんな。」って言ってたけど‥
これがきっかけとなって、またいろいろ話せるようになれてればいいんだけど。
でも、それはそれとして、貴方たち同士の問題であって
私は私の気持ちで向き合うだけ‥そう思ってる私って冷たい?笑
とにかく、大事に気持ちを受け取らせていただきますから。
ありがとうございます。



今回のこと、本当は書くべき事ではないのかもしれません。
私がボランティアに行ってる施設でも、守秘義務に関する同意書に
署名しなくてはいけなくて、個人情報に関することは
プライバシーを守ると言う意味で話してはいけないことになっています。
だから母の事はともかく、おばあちゃんのことはダメなのかも。
でも、おばあちゃんの気持ちと向き合いたくて書きました。